The End of an Era :オバマ大統領

去る1月10日にあったオバマ大統領の最後のスピーチ。私もそうだが、これを聞いて涙した人は多いのでは?特に、一貫した高い意識で8年間を共に歩んだミシェル夫人と娘たち、バイデン副大統領への感謝と称賛を述べた時、彼が初めて大統領になった時の興奮が蘇ってきて胸が熱くなった。

8年前、彼がアメリカに歴史を刻む時に自分がアメリカに居たことはとてもラッキーだったと思う。彼が民主党の一候補から党の公式候補になり、最後に共和党マケイン氏に勝つまで、私は周囲の熱気を肌で感じていた。

下記は、その選挙の夜、当時まだ学生だった私が、宿題で書いていたエッセイのファイルに、感激のあまり残していたニューヨーク・タイムズの選挙結果速報の画面コピー。

開票結果が気になってニュースをちらちら見ながら宿題していたけど、OBAMAの文字がドドーンっと出た時の興奮といったら!!!



オバマ氏が当選した翌日、自分が授業を受けていたアフリカン・アメリカンの教授は、喜びのあまり授業の途中で本当に泣いてしまった。

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政治は大統領一人で行うものではないし、国内外の問題は複雑に絡み合っているから、時には苦渋の、不本意な決断もあっただろう。また、全部の課題を完璧にこなすことは誰が大統領になってもおそらく無理だ。

しかしそういう政治的なことでなく、また、彼が黒人初の大統領うんぬんというのでもなく、人間的に彼に惹かれていた人は多いと思う。ミシェル夫人を含めたチームとしても。

事実、私は、アメリカ市民でもアフリカン・アメリカンでもないし、正直政治のことなんてよくわからないが、8年前の今月、オバマ大統領就任式の中継で、パレードの黒塗りの車から降りてミシェル夫人と手をつなぎながら両脇の人々に手を振る姿を見て、そして演説を聞いて号泣していた。ずっと根本的な部分で何かを感じ、大げさだけど、「人として」涙してたと思う。

大統領でありながら「いち人間」として私たちの心にストレートに語りかけてくるような彼のスピーチは、"I Have a Dream"が有名なマーティン・ルーサー・キング・ジュニア(キング牧師)のスピーチと共通したところがあると思う。

いずれも、普遍的・良心的な内容が、さらに音や波動、言霊といった域で人々にするりとデリバリーされる、そういった類のものだ。

潜在意識に訴える手法としては、ある意味トランプ氏と似ているのかも?前二者はポジティブに、後者はネガティブに、だけど。(もはや本人たちの意図を越えて、その人間の固有の性質として、、、。)

リーダーというのは、時に雲の上の人すぎて、私たちは自分との接点を見いだせない場合がある。しかし、オバマ大統領やキング牧師は、「自分は彼らと繋がっている」「目線が同じ」と思わせる種類の人たちだと思う。

それは、人種や階級などの差に関係のない、信条・心情的な部分でのつながり。そういう部分で、オバマ大統領は、歴代の、そしておそらく未来の多くの大統領たちとちょっと違っているのではないだろうか。

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ちなみに、オバマ大統領の最初の就任式のあった20091月は、私はちょうど大学で最後のクラスを完了、5年間に渡る学生生活を終えて就職活動を始めた時だった。

就任式の翌日に1社目の面接を控えていた私、家を出てすぐに新聞を買って、就任式のトップ記事をドキドキしながら読み、勢いづいて電車に乗ったことを覚えている。


オバマ大統領のスタートと私のスタートはかぶっていて、それからの8年は、私の人生においても、いろいろと模索したちょうどひとかたまりの時期だった。

狙ったわけじゃないけど、8年後の今、自分なりに新たな出発点に立ったと感じているだけに、そんな心情もかぶって先日の最後のオバマ大統領のスピーチは、あるひとつの時代が終わったような、大きな区切りと感じた。

ここからはあなたはいない。この先がどうなるかはまだ暗く、見えない。でもあなたは、やはりHopeを掲げ、Yes We Canと私たちを奮い立たせる。最初から最後まで、変わらずに。

オバマ大統領のスピーチは、アメリカ市民に放ったメッセージながら、すべての人が受け取れるポジティブなメッセージだ。今、自分の心情ともぴったりと重なる。他人や環境を批判したり愚痴ったりする時間があるなら、自分に何が出来るかを考えよう、そう思わせてくれる。

彼の退任は本当に惜しいが、時間は常に流れている。自分もさらに前へ前へと進みたい。

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自分用リンク!オバマスピーチ集
名スピーチは数あるが、ここには大統領就任までの軌跡を。(すべて英語)


オバマ大統領の数ある名スピーチの中でもベストと挙げられる回数の多い、2004年の民主党大会での基調演説。

自身が大統領に立候補する4年前の、ジョン・ケリー氏を推す党大会だが、スピーチ内容は、すでにアメリカへの想いと、あらゆる差別を越えた公平さを訴えるユニバーサルなものになっている。「United StatesUnitedの意味はこうなんだ!」の言葉に情熱がこもる。



民主党党大会・大統領候補として党の公式指名を受けた際の受理演説。
ちなみに、この日は45年前(1963年)にキング牧師が人種差別撤廃を訴え"I Have a Dream"を演説した日。


3) 11.6.2008 Victory Speech 'This is Your Victory' (Chicago, IL)

大統領選を制した勝利スピーチ。お膝元のシカゴは大熱狂!


4) 1.20.2009: Inauguration Speech 2009 (Washington D.C.)

2009年大統領就任式でのスピーチ



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