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3月, 2017の投稿を表示しています

春を告げるメープルシロップ

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冬の間に糖分を増したカエデの樹液を煮詰めて出来上がるメープルシロップ。 2 月~4月、その工程見学やパンケーキ試食などができる「メープルシロップフェスティバル」が、主にカナダ南東部(オンタリオ州・ケベック州)のあちこちで行われている。 写真は、カナダに来た最初の年に行ったフェスティバル。この時、樹から採れたばかりの樹液「メープルウォーター」を初めて口にしてみたが、ごくわずかな甘みだけでサラサラしていた。 大鍋で煮詰めているのはあくまでもアトラクションで、実際はちゃんとした工業用の装置でシロップが生産される。写真にもあるように、 1L のシロップを得るためには、なんと、 40 倍= 40Lも の樹液がいるそうだ。 どのくらいのスピードで採取されるかはわからないけど、自然が樹木の中で時間をかけて樹液を作り出していることを想像すると、感謝の念が湧いてくる。 しかし、カナダと言えば、とにもかくにもメープルシロップ!日本にいた時はそれほど食べる機会がなかったけれど、ここでは日常的に入り込んでいる。 お土産やさんなんかでは、 1-2 種類くらいしか見かけないけど、実は種類は豊富。質によってグレードが「カナダ No.1 ~ No.3 」に分かれていて、色が薄いほどグレードが高い。カナダ No.1 は混ぜ物一切なし。 スーパーにも数種類置いてあるけど、やはり、ファーマーズ・マーケットで買うローカルのシロップが一番美味しく感じるな! 植物性の甘味だから、健康志向の人はよく取り入れているだろう。料理やお菓子作りには、メープルシュガーやバターもある。メープルウォーターも手軽に買える。 お土産では、クッキー、キャンディー、フレーバーティーなんかが王道だけど、スーパーに行けば、メープルコーヒーだのシリアルだの、いろんな製品に入り込んでいるのがわかる。コーヒーチェーン店でも、メープル味のドーナッツやラテが。 そうそう、メープルシロップ&ベーコンの組合せも多い。スナック菓子では、メープル&ベーコン味のポテトチップスやチョコレート、ポップコーン。 カフェでは、パンケーキやワッフル、フレンチトーストの上にカリカリベーコン乗せて、その上に

Rescue?

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先日、 リンダ・ホーグランド 監督のドキュメンタリー 『 The Wound And The Gift 』 を観た。 www.thewoundandthegift.com より 『 Rescue (救済)』がテーマのこのフィルム、日本の昔話『鶴の恩返し』を軸に、動物と人間の関係がいくつかのストーリーに渡って描き出されていく。 カナダに来てからぐっと動物に触れる機会の多い私は、以前から興味を持っていてようやく見ることができた。 フィルムの中に登場するのは、人工的に繁殖させられた末に捨てられたオオカミ犬や、殺処分寸前だった犬たち、虐待を受けていたトラやライオン等、人間によって傷つけられた動物と、その動物をケアする人間たち。 そしてストーリーが進むにつれ、人間は動物を救っているように見えて、実は自分たちが救われている、という関係が見えてくる。 後半のエピソードに登場した、引退した競走馬を世話する刑期中の囚人。彼は馬の世話を通して、自分がやってしまったことを心から振り返ることができ、徐々に社会復帰への道を歩んでいる。 “ 救われているのは人間と動物、どちらなのだろう? (Who is saving who?) ”   動物と関わる様々な場面において、そう私たちに問いかけるているのがこのフィルムだ。 *** 私も 2 年前から赤ちゃんだった秋田犬を育てる中で、「こちら(人間)が受け取るものの大きさ」を実感している。それらは、相手をケアすること、想うこと、愛することの中から育まれる、確かな絆の中に存在する。 秋田犬Roninの幼少期 それは言葉を越えたところにある体験だから表現することが難しいが、動物に限らず、人間同志だってとにかく大事に思う人との間に作られる関係は普遍であろう。 現に、私は自分の父が一時入院した時にしばらく世話をしたのだが、何かいつもデ・ジャブな感覚があった。よくよく考えて見たら、自分のやっていること  ---  それは、着るもの、食べるもの、寝るところ、排泄等、生命に関わる基本的な部分のお世話だが、赤ちゃん犬を育てる時と全く同じ内容だったので、心境がかぶっていたのだ。 私が 「大事な生き物を心からケアする」  という意

冬の木々たち

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北米の北東側は、今週前半スノーストームで大荒れ。しかし、元々私のいるところは雪嵐があろうがなかろうが、 3 月というのはまだ『真冬』の範疇。最高気温が氷点下の日だってまだ多い。 10 月半ば~ 4 月半ばの間は寒く、雪が降る季節だが、数えてみたら 1 年の半分は冬ということじゃないか! 2 月後半くらいからうんざりしてきて、 3 月には「このまま永遠に春が来ないんじゃないか」と思うくらい、これでもかと寒さと雪の厳しさを思い知らされる。 それでも、最近、ひとついいことに気づいた。 それは、冬の木々たちが、冬にしかない美しさを見せてくれているということ。 針葉樹が、冬の間も生き生きと緑をキープして白い雪とのコントラストを見事に見せてくれるのはもちろんだが、今回改めて魅せられたのは、葉っぱのない ハダカンボウの木たち。 彼らの枝ぶりの全貌がちゃんと見られるのは、考えてみれば葉のない冬の間だけなのだ。春になれば葉に覆われ、実は個性ある独特の曲線は見えなくなってしまう。 暖かい春の陽気、活力ある夏の陽射し、清らかな秋の空気。それらの季節に認識する、色や香りや眩しさをまとった美しさもいいが、冬は「無」によって、物事の一番基本的な、素の姿を映し出してくれる。 下の写真は、北の職場に行く道にある大きな大きな木。バランスのとれた枝の伸び方とその曲線の美しさに妙に魅かれて、車を停めて見入ってしまった。水分を保った焦げ茶色の幹や枝と、鉛色の雲が結構マッチしてる。 これも北の運河沿いにて。朝日に照準をあてて撮ったのだが、あとで見たら松の枝ぶりがいい味出してる! そして、 1 本 1 本ランダムに伸びる枝も、木全体でみると計算されたような「しっくり」くる美しさがある。それらが映し出す影もまた素晴らしい。 冬でなければわからないことがある。冬だからこそわかることがある。 これを人生のレッスン的にとらえれば、一見何も進展がなかったり、何もいいことが見えない状態でも、それだからこそ気づくことがあるのではないか?ということ。ひとたび何かが動き始めれば見えなくなってしまうけど、静止して深く心を添わせることで見えるものがきっとあるだろう。

"Women are persons!" オタワで触れたカナダ女性の歴史

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「カナダの法律の中でうたわれている「個人」とは、女性を含んでいるのか?」 ("Does the word 'Persons' in Section 24 of the British North America Act, 1867, include female persons?") 今から 90 年前の 1927 年、カナダ国家に対し、そう問いかけたのはカナダ・アルバータ州の 5 人の女性たち。 彼女たちの主張をもう少し具体的に言うと、上院議員が指名される際、女性もその候補として考慮されるべきだ、ということだった。(当時は男性のみが対象) この頃、すでにカナダの女性は州ごとに徐々に選挙権を得てはいたものの、正式な国家法の中での「個人」という言葉の定義を法廷に持ち込んで問いただすことにより、女性の地位・権利を明確に・法的に同等にしようとしたのが、彼女たちの行動だった。 カナダ国会議事堂 翌 1928 年、カナダ最高裁は「上院議員に指名される「個人」として、女性にその資格なし」と、彼女たちの訴えを退ける。 それでも " The Famous Five " と呼ばれるこのエミリー、ネリー、イレーネ、ルイーズ、ヘンリエッタの 5 人は要求を続け、翌 1929 年に勝利。カナダはついに国家の法の下、「女性も上院議員となる資格を持つ『個人』である」と認めた。 "Women are persons!"   ヘッドラインにそう載った新聞を掲げたネリーの姿は、他の 4 人のメンバーとともに銅像となって、カナダの首都・オタワの国会議事堂広場に設置されている。 The Famous Five のメンバーで、のちに実際に上院議員になった者はいないが、この 1929 年の訴訟" The Persons Case" は、公的なポジションに女性が進出するきっかけとなったため、カナダ女性史の中でも重要視されている事柄のひとつだそうだ。 * 3 月は国際女性月間、 3 月 8 日は国際女性デーということで、ふと以前訪れたオタワでこの Women are persons! モニュメン

Seedy Saturday!

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まだ時折氷点下二ケタなんて日もあるけれど、カナダの長~い冬は一応折り返しを過ぎて、春の兆しをわずかに感じられるようになってきた。そうなると、気が早いとわかってはいてもつい考えてしまうのは「今年は庭に何を植えようかな!」ということ。 モノによっては3月半ばくらいに小さなコンテナに種まきして室内で大事に大事に発芽させて苗木を作るものね。もうそろそろ準備しだしてもいいでしょう! そんな時期にうってつけのイベントが。 『 Seedy Saturday 』 という、種の販売&交換会。2月末~3月にあちこちの町で開かれるようだ。( Seedy = 種の多い、種のある、という意味) 私も先週土曜、トロント市の ボタニカル・ガーデン (植物園)内で開かれた Seedy Saturday に行ってきた! 大きな会場に種苗会社や農家のベンダーが並ぶ。オーガニック、エアルーム( heirloom= 古来のままの品種)、 Non-GMO (非遺伝子組換え)のものがほとんどで、とっても種類が多い! 本来なら、ちゃんと庭に何をどう植えるか、定植の間隔や陽の当たり具合なんかも計算しながら、ちゃんとデザインしてからじゃないと、何を買うか決められない。正直、目移りしながら、私はぐるぐると会場内を彷徨った、、、。 それにしても、パッケージも可愛くて、イラストと実際の種は関係ないにしても、可愛さを理由に買いそうになっちゃう。 それから、コンポスト方法の紹介や、キッズ向けのプログラム、種苗保護のインフォメーション、フード関連 NPO 活動紹介など、教育的側面もしっかりある。 私が時々参加している食用野草の会の方のプレゼンもあったので、そちらも参加。知っている人がいるとまた楽し。 こちらは養蜂家のベンダー。地元オンタリオ産のハチミツを売っている他、養蜂セミナーやハチミツの効能なども PR 。自分で蜂を飼って「マイ・ハニー」を収穫したい人は結構いるらしい。(私もいつか、、、?) ハニー & ラベンダーやバラやショウガ、ドレッシング用のハニー & 酢、ハニーベースの石鹸といろいろ。私は料理用にハニー & ターメリッ