マクマイケルとファーストネーションズ・アート
私の住んでいるエリアの少し北に行ったところに、「マクマイケル」という、とても雰囲気のいい美術館がある。
マクマイケルとは、McMichael氏という創設者夫妻の名字。カナディアン・アートを展示したいという彼らの希望どおり、美術館には『グループ・オブ・セブン』と言われるカナダの画家7名によるカナダならではの風景や、イヌイット・ファーストネイションズといった先住民のアートがメインに展示されている。
建物はシンプルかつ広々していて落ち着いた雰囲気。でも私はここの庭というか林というか、屋外スペースが大好きで、建物の中には入らないまま立ち寄ることがある。
屋外にも彫刻等のアートが置かれていて、きれいに設置された遊歩道やベンチから十分アートを楽しむことができる。
ファーストネイションズの男性とお供の犬 |
私の場合、アート鑑賞というより、ここの針葉樹の林と差し込む光でいい気分になれるから、そのために寄るようなものだけど。
とはいえ、最初に美術館内でファースト・ネイションズのアートを見た時はとても魅了された。一見原始的なシンプルな絵でありながら、自然・宇宙・生物といったサイエンスを象徴していると思えたから。
特にこの、「北のピカソ」と呼ばれた Norval Morrisseau 氏のアートがそうだ。
太陽はそのエネルギーが波線で描かれている。美術館で見た他の絵では、線がもっと長く地上に届き、さらには跳ね返った線なのか身体や地上に吸収された線なのか、とにかく太陽の波動をトレースするような、あるいはエネルギーの循環を表したような描き方が見られ面白かった。
人の身体は細胞と細胞核?あるいは内蔵?を表現したような描き方で、解剖図を見ているような気も。また、動植物を擬人化したり、人間の一部が動物になっていたりも意味深い。
いずれも、普段は目に見えないものだが、ちゃんと科学的な仕組みがそこに描かれているように思えた。
この画家は北米の大きな先住民グループのひとつ「オジブワ族」の家系で、その族の慣習によりおじいさんに育てられたとのこと。絵に現れているスピリチュアリティはシャーマンだったおじいさんの影響があるようだ。(後に、自身もシャーマンになったようだ)
スピリチュアルというと一見怪しげに聞こえる場合もあるが、実はよりサイエンティフィックだったりする。それは紙一重というか行きつくところは同じというか、、、。
マヤやインカの絵も宇宙的だけど、昔の方がよりサイエンスが身近だったような気がしてならない。
これは、オジブワ族の絵のひとつ。天と地上と地下。鳥と人と動物と魚。自然界すべてが詰まっている。中央の人の胸に開いた穴は心?あの世と繋がるスポット?人の命の源、心臓?
私がマクマイケルで最初にファーストネイションズ・アートを鑑賞した数年前というのは、折しも自然の原理や生物の基本や宇宙の仕組み、エネルギーの流れ等々の科学系に興味を持ったときだったので、特に感動は大きかった。
1枚1枚の絵の前で随分長く鑑賞したのを憶えている。久々にまた見に行きたいな。
さてさて、今日は夏至。実は去年の夏至の頃、ちょうどこのマクマイケルで行われたファースト・ネイションズのイベントのことを書いたのだった。
ここで書いた「 ストロベリー・ムーン」は今年は6月28日。ファーストネイションズの、特に女性たちが重きをおいたその満月、ぜひ見たいから晴れるといいな。
美術館敷地内の創設者ロバート・マクマイケル氏の墓石。これすらもアートの一部になっている。 |
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