ナガネンノユメカナウ? (1) ~ パンへの想い ~

誰もが小さい頃、なりたい職業というのがあっただろう。といっても、その頃は知っている職業が少なく、まだ短い人生の中で出会ったことのある数少ない職業の中から選んでいたと思うが。例えば、先生、保母さん、看護婦さん、電車の運転手あたり?

私も例に漏れず、小学校の先生がいいかな、なんて漠然と思っていたこともあったが、あるとき私の頭に新しい職業が閃いた。

それは、、、パン屋さん!

子どもの頃、私の田舎には個人商店や小さなスーパーで「ヤマザ〇」かそれに似た類の工場系パンしかなかった。

ところが、小学校おそらく低学年のある時、近所に小さなパン屋さんが出来た。お店で焼いた出来立てのパンを何種類も並べていたそのパン屋さんは物凄く画期的に見え、実際にパンも美味しく、すぐに私のお気に入りの場所になった。

その店での私の好物は「たまごパン」。コッペパンの真ん中にゆで卵サラダが入った、焼きそばパンと並ぶお惣菜パンの王道。今でこそ珍しいものではないが、出来立てのそれは私には特別に美味しく感じ、食べるたびに心をときめかせていた。
 
たまごをサンドしたパンは今でも大好き

しかし、そのたまごパンは当時確か120円。小学生にとって100円を超える買い物は結構勇気がいる。

だから小学生なりに自制してたまごパンは毎回は買わず、60円とか80円のパンで我慢し(そのパン選びもまた楽し)4,5回おきにお小遣いを貯めてから、それ今だ!と、たまごパンを買いに行ったものだった。

そして私は思っていた。

「いつかパン屋さんになっていろんなパンを作って並べよう!」
「たまごパンを山ほど作って自分で食べよう!」と。

おいおい、自分で食べるためのパン屋?とかそういう突っ込みは無しにして(笑)しょせん子どもの発想であって、要はパンを食べるのも、焼き立てパンが並んでいるのを見るのも大好き、ということだ。
 
並んでいる焼き立てパンは見るだけでうっとり、、、

そして時は流れ―― 多くの人がそうであるように、子どもの頃見た夢は現実とは別の場所にしまい込まれ、単なる記憶の一つと化した。

しかし、嗜好は変わらなかった。私はずっとパンが好きで、3食ともパンの日だってよくあった。

アメリカに行く予定がない頃からそうだったから、何も西洋文化にかぶれていたわけじゃない。事実、お米も麺も大好きだ。でもパンは最低でも1日1回は食していた。

子どもの頃あったのはいわゆる昔ながらの菓子パン系だが、就職するころにはもう都会のパン屋さんの多種類なパンにも親しみ、結果、ハードタイプのパンが好みになった。

ハード系とは、例えばバゲット、チャバッタ、カンパーニュ、ライ麦パンなど。

今の今でも、スーパーやベーカリーで焼き立ての香りをかぐと買わずにいられない!そして何もつけずに、すぐさまかじるのが好き!

サンフラワーシード(ひまわり種)入り全粒粉バゲット。スーパーで買ってそのまま傍らのカフェで仕事しながらかじったり、、、

焼き立てバゲットを助手席において、
信号で止まるたびにちぎって食べることも

友達に、それは一種の中毒(炭水化物中毒(Carbo-Addict)/小麦中毒(Flour Addict)だよ、と言われたけど、はっきり言って否定できない、、、。

だって最低1日1回は無性にパン、あるいは粉もの(クッキーやケーキ)が食べたくなるもの!一応今は全粒粉や砂糖なし、ヴィーガン向けを選ぶようにしているのがせめてもの努力。(汗)
 
今は全粒粉やグルテンフリー、ヴィーガン向け、
古代小麦使用にキノア入りなど、白小麦以外の種類も豊富

しかし、ひとつ不思議なことは、、、それだけずっと大好きで、小さい頃パン屋になりたいとまで思っていたのに、これまで実際に自分でパンを焼いてみようとは全然思わなかったこと。

パンは主食の一つで、比較的安価で手に入るものだ。焼く苦労を考えると割に合わないし、面倒くさい、と思っていたのだろう。そして自分がいかに不器用かも知っている。

そもそも、今でこそ料理を「楽しんで」いるが、以前は必要だからやっていた、というだけのものだった。

それが、、、おととしくらいから、発酵や菌を利用した食文化や化学物質を避けた食生活に関心が湧き、偶然仕事でもその分野に触れることに。酵母について知識を得るうちに、パン焼きにも興味が出てきた。

ずっと遠回りしたうえに別な入口から入ったけど、自分が子どもの頃から好きだったものに辿り着いたのは面白い。

全粒粉・ライ麦・サンフラワーシードのパン。切った時の香りがたまらない!そしてなぜか外側にふってある粉にも妙に魅かれる私。やっぱり中毒⁉

それでも2年くらいは重い腰をあげず、、、なぜか2週間くらい前に急に「よし、パン作るぞ」というやる気が降りてきた。それからバタバタと仕込みに取り掛かった次第。

しかも、ホームベーカリーお任せコースを数回だけ使ったことはあっても、自分でゼロからパンなんて焼いたこともないのに、いきなり天然酵母起こしから始め、その自家製酵母でパンを作ろうという無謀な試み。

天然酵母は以前果物から抽出しかけたが、仕事の都合で冷蔵庫へ入れたり蓋を開けたりするタイミングを逃し、途中で断念。まだ一度も終えていない。だから酵母作りを最後までやることも初めて。
 
数カ月前にトライした酵母作り。
途中、管理のタイミングをキープできずに腐らせた!

しかも!日本には無いが、こちらの家庭にフツーに備え付けてあるガス・オーブン。恥ずかしながら私、北米歴通算10年を超えたにも関わらず、ずっと抵抗があって使っておらず、今だに使い方をよく知らないのだ。(何度か同居人に操作してもらって使っただけ)


 私が料理するときは和食中心だし、日本にいる時と同様、ガス・コンロで済む料理しか作らない!

ということで、

1)初の天然酵母起こし

2)初のパン焼き

3)初のガス・オーブン使用

という、3つの「初」を同時にやるという暴挙に。よりによって、仕事上で大事な会議やその準備などが入っている忙しい時期だったが、なぜかここへきて私のやる気は満々。

約2週間の下準備のもと、いよいよ本日決行!

思わぬトラブルも続出したが、さて、結果はいかに?

(次回へ続く)

ファーマーズマーケットで買ったセブン・グレイン(七穀)にガーリックバターと刻んだチャイブをのせて。こんなパンが焼けるようになるかな?

※余談だが、Facebookなどで見かけた情報によると、昨日のパワフルな満月(しかも日本は部分月食!)に続き、今日8月8日は「ライオンズ・ゲート」と言われる、宇宙のエネルギーがとても高い日だそうな。それは7月26日頃からじわじわと上昇しているエネルギーとのこと、狙っていないのに自分の行動とピッタリ合っていて苦笑、、。

コメント

  1. わたしもパン焼くの大好きです。次回が楽しみです!

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    1. 先ほど迷走・初パン焼き体験をアップしました。Takakoさんのようにすでにパン焼き経験者に見ていただくのは非常に恥ずかしいですが、、、私なりにかなりの前進。おススメパンレシピがあれば今度教えて下さいね。

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