"Women are persons!" オタワで触れたカナダ女性の歴史

「カナダの法律の中でうたわれている「個人」とは、女性を含んでいるのか?」
("Does the word 'Persons' in Section 24 of the British North America Act, 1867, include female persons?")


今から90年前の1927年、カナダ国家に対し、そう問いかけたのはカナダ・アルバータ州の5人の女性たち。

彼女たちの主張をもう少し具体的に言うと、上院議員が指名される際、女性もその候補として考慮されるべきだ、ということだった。(当時は男性のみが対象)

この頃、すでにカナダの女性は州ごとに徐々に選挙権を得てはいたものの、正式な国家法の中での「個人」という言葉の定義を法廷に持ち込んで問いただすことにより、女性の地位・権利を明確に・法的に同等にしようとしたのが、彼女たちの行動だった。

カナダ国会議事堂

1928年、カナダ最高裁は「上院議員に指名される「個人」として、女性にその資格なし」と、彼女たちの訴えを退ける。

それでも"The Famous Five"と呼ばれるこのエミリー、ネリー、イレーネ、ルイーズ、ヘンリエッタの5人は要求を続け、翌1929年に勝利。カナダはついに国家の法の下、「女性も上院議員となる資格を持つ『個人』である」と認めた。

"Women are persons!" 

ヘッドラインにそう載った新聞を掲げたネリーの姿は、他の4人のメンバーとともに銅像となって、カナダの首都・オタワの国会議事堂広場に設置されている。


The Famous Fiveのメンバーで、のちに実際に上院議員になった者はいないが、この1929年の訴訟"The Persons Case"は、公的なポジションに女性が進出するきっかけとなったため、カナダ女性史の中でも重要視されている事柄のひとつだそうだ。



3月は国際女性月間、38日は国際女性デーということで、ふと以前訪れたオタワでこのWomen are persons!モニュメントを見たことを思い出し、ここに書いてみた。

そこには、国家君主のエリザベス女王の銅像もあって、まるでThe Famous Fiveを後押ししているみたいだった。


女性だけでなく、人種や宗教等、何かひとつのカテゴリーに特化して語るのは、それ自体差別を際立たせるような危惧も時折感じるのだが、やはり声をあげないと社会で問題が認められず、苦しみ続ける人がいるのも事実だ。

雇用機会や社会的権利・待遇等の平等以前に、力の差による暴力等、身体的な違いによって恐怖や屈辱にさらされているケースも世の中にはまだまだあるだろう。思い込みや無知によって起こるヘイトクライムも非常に悲しいことだ。

ある程度、法や人々の認識が発展した社会で平等を訴えることができるのはまだいい方なのかも。だからこそそういう社会にいる人たちが、まだそうなっていない社会のために、どんどんリードすべきなんだろうな。


国際女性デーとは言っても、性差だけでなく、あらゆる「違い」から起こる悲劇に対して、自分は何が出来るかな?と考える日にしたいな、と思った、、、。


おまけ!せっかくオタワに触れたついでに写真をいくつか載せておこう。この時はたった数時間の滞在でゆっくり出来ず、また行きたいと思っているので、自分へのリマインダーを兼ねて。

どこに行っても楽しいのは市場!国会議事堂のあるパーラメント・ヒルから歩いて行ける、歴史の古いバイワード・マーケット。(オバマ前大統領が訪れたクッキーやさんは、ここぞとばかりオバマをネタに、、、。)



パーラメント・ヒルのすぐ南側にある戦争記念碑。私が訪れたあとに、テロとされるシューティングがあり、悲しい場所となってしまったが、、、。


パーラメント・ヒルからオタワ川を臨む。向こう岸はすぐケベック州。


オタワがちょうどトロントを中心とするイギリス文化とモントリオールを中心とするフランス文化の分岐点という感じ。街を歩いていても、トロントにいるよりはフランス語が聞こえた。

ちなみに、そもそもオタワに行ったのは、バスケットボールの生みの親・ジェームズ・ネイスミス博士の生誕地を訪れるため。そこはオタワ郊外で、のんびりした自然たっぷりのところだった。


トロントからオタワは車で4,5時間。次回行くときは車で行くことにチャレンジしてみたいな!



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