トロントは建設ラッシュ!

先日カナダの2016年の国勢調査の人口データが発表された。カナダ総人口は約3,500万人と、アメリカの約10分の1、かつ、約3,900万人もいるカリフォルニア州単体よりも少ないことになるが、過去5年の人口上昇率で言うと、カナダはG7の中でトップだそうだ。


Canada Is The Fastest Growing Country In G7  <2/8/2017 Huffington Post>


日本は狭い国土に1億人以上いるから、その何十倍もの広さの土地に3,500万人と聞くと、「えっ、たったそれだけ?」という気もするが、カナダはほんの20年前は3,000万人にも達していなかったのだから、毎年相当数が増えているのだ。

後押ししているのは移民の数。2011-2016年の人口増加のうち3分の2は移民(難民も含むと思われる)によるものとのこと。カナダは移民歓迎の国、人道援助目的だけでなく、産業発展のためにも頭数は必要であろう。

ちなみにカナダ国内で特に人口上昇率が高い都市は、地下資源が豊富でカナダ-アメリカ間のパイプライン建設も予定されているアルバータ州の中のカルガリーとエドモントン市。そして広大な穀倉地帯であるサスカチュワン州のサスカトューンとレジャイナ市。

カルガリーの位置。エドモントンはその北にある。Googleより

数だけで言えば、今だトロント・モントリオール・バンクーバーの3大都市付近だけでカナダ総人口の約3分の1を占めるが、その3都市だってそれなりに人口上昇している。

特に最大都市トロントは、アメリカと合わせても第四の都市(1.ニューヨーク、2.ロサンゼルス、3.シカゴ)だが、周辺の経済圏を足すなど、数字の取り方によってはもはやシカゴと並んでいる。


航空系国際機関のあるデータによると、北米で2014年から2015年の間で外国人乗客数が最も伸びた空港は、ニューヨーク・JFK空港を抑えて、トロント国際空港が1位だそうだ。

自分もトロント郊外に住んでいて、その勢いはつぶさに感じ取れる。

とにかく建設ラッシュ。一軒家やコンドミニアム、大きな病院やモール、ハイウェイに道路拡張。地下鉄も延伸。とにかくどこに行っても工事をやっているし、建設関係のトラックと頻繁にすれ違う。



トロント南側はオンタリオ湖なので、開発の波は北へ北へ。私のいるたった3,4年の間にも、住宅地がどんどん広がっているのがわかる。

北の職場へ行くたびに、野原だったところに宅地造成の看板が立ち、次に行くともう工事が始まっていて、その次にはモデルハウスがオープンして、、、というふうに。それだけ需要があると思うと、すごい数の移民が入ってきていると実感。



トロントは元々多民族からなる都市だが、移民の割合が高い。下記は少し古い2006年のデータだが、外国生まれの人口の割合が高い都市の順に並べたグラフ。トロントは約半数がカナダ以外から来た人々なのだ。

(グラフは左からトロント、バンクーバー、マイアミ、サンノゼ、シドニー、ロサンゼルス、サンフランシスコ、ニューヨーク、モントリオール)

Source: Greater Toronto Marketing Alliance: Foreign Born as a Percentage of Population

そして、トロント周辺に来る移民は裕福な人たちも少なくない気がする。他の大都市同様、リッチな中国人による投資も多いようで、不動産が高騰。


円に換算して例を挙げると、私の近所はトロント市街地まで車で40分ほどの郊外だが、新築コンドミニアム(日本で言うマンション)のたった2DK6,000-7,000万円台の看板をよく見る。


あるお宅は、20年前に3,500万円で買った新築の家が、今のマーケットバリューでは1億5千万円~2億円超えだとか。20年経過した中古住宅なのに!ちなみに近所で家が売りに出されると、見に来るのは中国人かインド人ファミリーが多い。

先月のトロント・スター紙でも、「トロントの住宅販売が最高額を記録」「1年で住宅価格が20%上昇」なんてニュースを見た。


他でも「5年で54%の価格上昇」なんてデータもあったし、実際日本にいる私の知人でも、トロントの不動産に投資している人がいる。不動産の上昇はトロントに限らず、バンクーバーあたりも相当らしい。

ということで、街が活気づいて大きく発展していくのを今、目の当たりにしている。日本でこういう光景を見たのはバブル期が最後だから、なんだか新鮮で不思議な感じすらある。


ちなみに日本はG7中はもちろん、G20の中でも唯一人口が減っている国。(下記グラフの一番下)移民受け入れを含め、この先どうなることか、、、?昨日のトランプ大統領と安倍首相の握手シーンを見て、怪しげな不安がよぎるのは私だけか?

コメント

このブログの人気の投稿

秋の森、秋の雲

2023年の終わりに

路地裏のパン教室でサワードウを学ぶ