スイスへ
この秋スイスへ行ってきた。久々の旅行らしい旅行。そしてなんとヨーロッパ行きは20年ぶりであった。この間、北米とはいえ「海外」にいたからか、そんなに行っていないとは気づかなかった。
スイスはずっと行きたかった国のひとつ。丘に広がる緑のまぶしい初夏に行けたら、と思い描いていたが、こだわっているといつまでも行けないのが常。この秋、なんとなくスイス行きのチャンスが来てそれに乗っかった。
10月半ばのスイスというのは、ちょうど夏と冬の観光シーズンが切り替わるとき。山が多い国ゆえ、そこらじゅうにゴンドラ・ロープウェーがあるが、私が滞在中に夏シーズンの最終日を迎えるゴンドラが多くあった。山の中腹のレストランやホテルも然り。
この季節切り替えの10月半ば~11月に、リノベーションやら休暇を済ませ、12月のホリデーシーズンにまた華々しく冬の観光・スポーツシーズン(スキー、スノボ、ボブスレー等)の幕が開かれる。
そんなことは考えずに旅行時期を決めちゃったもんだから、開いている観光地・アクティビティを確認するのにちょいと手間を取った。が、メジャーな観光地は開いていたし、まだ紅葉も残り、季節問わず素晴らしい自然の風景が見切れないほどあるので、充分楽しめた。
全部書ききれないけど、印象深かった場所をここに記録しよう。
まずはやはりアルプスの山々。
有名な山岳鉄道、ユングフラウ鉄道にのって、ユングフラウヨッホへ。富士山頂に近い高さまで鉄道でいくのだから驚き。しかし、富士山がひとやま抜きんでている日本と違い、3000-4000m級の山がぐるりと並んでいるせいか、それとも電車でアッという間に(楽に)着いたからか、どのくらい高い場所にいるか感覚がつかめなかった。
標高2800-3000m付近の駅。レストラン脇を抜ける山岳鉄道はここからさらに登る。
Top of Europeと言われるユングフラウ |
それでも氷河を目の前に見たときは、ここは神聖なエリアなんだという実感があり、高さというより、すっかり別世界に行ったような気分だった。
数日後、今度はマッターホルンへ。マッターホルンを直接上るのでなく、少し離れた山から観た方が絶景というので、そちらの山岳鉄道へ。これも3000mも登るのだから電車そのものがアトラクションだ。
まだ紅葉中のふもとの町から上へ登るにつれ色彩がなくなり、やがて雪山となる。壮大な山の景色とともにその変化も楽しんだ。
麓の町ツェルマットからマッターホルンを臨む |
マッターホルンはこの独特のシェイプが人を惹きつける。事実、霊峰と恐れられていたため、この山が初めて登頂されたのは、他の山に比べてやや遅めだという。
ここでも周囲の山々が高く、マッターホルンと並んでいるため高さの感覚がおかしくなる。現実ではない、雲の上にいるような気分。時間によってマッターホルンは雲がかかるが、ユングフラウ然り、青空の広がる日に行けたのは本当にラッキーだった。
スイスで氷河の山と同じくらい美しいのが、丘陵の牧草の広がる風景。背後の高い山々とセットだからこそ美しい。ここ数年人気と聞くユングフラウ近くの町、ラウターブルネン(Lauterbrunnen)を楽しんだほか、移動中の電車から見る風景だけでも、その美しさにしばし圧倒された。
そしてスイスと言えば、、、もちろんハイジ!ハイジの里はチューリッヒから東南に1時間ちょっと電車にのったマイエンフェルトというのどかな場所にある。作者ヨハンナ・スピリがこの地で過ごした際の生活や風景などが物語のベースとなったそうだ。
ハイジは数多くの国で翻訳出版されていて、世界で聖書やコーランに次ぐ出版数とも言われている。村のハイジ博物館には日本のアニメのハイジも紹介されていて、本やグッズも。日本語での説明もあった。
敷地内にはハイジの家や学校が物語をベースに作られていて、干し草のベッドや木でできた食器などもちゃんと展示されていた。
ハイジの里は、駅からてくてくと1時間近く、まさに牧歌的風景の道を歩いた低い山の上にある。ここに行きつくまでの美しさは、今も目に焼き付き、カウベル音が耳に残っている。時々アルプスの湧き水?公共の水場らしきものも。
ちなみにこの町、マイエンフェルトはワインの産地でもあり、数々のワイナリーがあるのも魅力だ。古い小さな街は歩いていて心地よかった。
チューリッヒ、ルツェルン、ツェルマット、アンダーマット、サンモリッツ、ダボスといった比較的有名な町も駆け足で廻ったけど、あまり耳にしない町クール(Chur)が意外に良かった。ここはスイス屈指の古い町で、迷路のようなオールドタウンが見どころ。州都であり多くの鉄道のハブでもある。
クール旧市街地のシンボル、時計台 |
クールは観光客に大人気の「氷河特急」「ベル二ナ急行」の発着駅でもある。この鉄道に乗ろうかと思っていたが、ローカル線がほぼ同じルートをもっと安い料金で走っているというのでそちらを選んだ。ローカルとは言え綺麗な電車で窓も大きい。所要時間も変わらない。充分に列車の旅を楽しめた。
クールからサンモリッツ間は、その風景が世界遺産登録されている。ローカル線とはいえ、立ち席のみ(寄りかかる席が設けてある)プラス、屋根や壁の大部分がガラスの景色撮影専用の特別車両もあり、指定席を買ったのにほぼその撮影用列車で過ごした、、、。
ちなみにスイスは自転車利用も一般的で、バス・電車には自転車とともに旅する人のためのスペースやツールが確保されている。
リッチなリゾート感あふれるサンモリッツから南への路線は終着駅手前で国境を越えイタリアとなる。アルプスを抜けそのイタリアの素朴な町までの路線の高低差がなんと1800m。そうなると端まで行きたくなる。
途中下車して氷河で変形した岩場の公園やスイッチバックを楽しみながら、イタリアの国境の町ティラノまで行ってきた。
そうそう、この路線は箱根登山鉄道と姉妹鉄道だから、いくつかの駅で日本語の看板も。確かに山の脇を走っている間、「箱根鉄道みたいだなあ」と何度か感じた。
観光客向けにスイス国内の交通手段が半額になるパッケージを使い、滞在1週間の間、かなりの距離を電車でまわったが、決して飽きることはなかった。景色は緑の草原だったり黄色の紅葉だったり、雪山だったり湖だったり、、、。
ローカル線でも十分に車内が綺麗で広くて、ボックス席には路線図や近場の山々の地図を載せたミニテーブルがあり、居心地が良かったせいもあろう。
とにかく自然や風景に圧倒された良い旅だったが、食べ物が高かった!レストランでパスタを食べるとすると、30スイスフランくらい=5000円くらいになる。
スイスは税・チップがすでに値段に含まれているから、カナダのように会計後に税とチップで金額が吊り上がることはないが、高級でない、ごく一般的なレストランでパスタ1皿5000円はねえ、、、。
チーズの国スイスでの濃厚なカルボナーラ。激うま!でも高い(泣) |
フランス・イタリア・ドイツの文化が混在するスイスではそれぞれの国の食べ物も楽しめる。ペストリー・デニッシュ系が充実!そしてバゲット、プレッツェルも美味い!朝ごはんはベーカリーに行くのがとても楽しみだった。
駅構内のプレツェルスタンドで焼きたてをかじる。 |
しかしパンひとつでもいちいち高い。ごく小さいサイズのコーヒーが円で500円とかラテが800円とかするから、時々はコンビニっぽい安いところで済ませることも。。。
もちろんスイスならではのチーズ・フォンデュも堪能したが、それは1回だけで(それは値段が理由だけでなく、なにしろすごく濃厚で、美味しいけど胃もたれする、、、)あとはスーパーマーケットでサラダやフルーツを買って済ませた。
さすがチーズの国、どのスーパーでも種類が豊富! |
バゲットに挟むハム系も充実。 |
それらも決して安くはないけれど、レストランで食べるよりはセーブできる。いずれ外食が高くなくとも、外食連チャンは胃が疲れるから、買った軽食で充分。ランチに関して言えば、列車で食べながらの方が、時間をセーブしつつより多くの景色を見ることができるから一石二鳥。
そうそう、地元スーパーに行くとフォンデュグッズが日用品的に売っていた。牛の模様はベタだけど、ゴンドラ模様はさすがにスイスだなと思った。エーデルワイスの花・フォークダンス模様もノスタルジックな雰囲気でグッと来た、、、。
こうして20年ぶりのヨーロッパを楽しんだ。しかもヨーロッパは日本からしか行ったことがなかったから、今回北米からヨーロッパへ飛ぶのがちょっと新鮮だった。トロントからチューリッヒまで8時間。日本から行くより当然ながらずっと近い。
モントリオールを過ぎレイキャビク方面へ。北米から初めて東に向かう。 |
スイスはぜひまた行きたいが、ヨーロッパって他にも行きたいところがたくさんなんだよねえ。しかし大都市は近頃物騒だから、今は古い街や自然を観る方が魅かれるかなあ。
ここ数年、かつて住んでいた日本とニューヨーク行っただけだったので、(今年春カンクンにも行ったが仕事だったので例外)久々に行ったことのない国への旅行らしい旅行をした。車で行く数泊の旅行とはまた違う。
20代の頃行っていた海外旅行のあのトキメキが蘇る。次はどこへ行こうか、それを考えるのがまた楽しい。
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