春のサイン・戻ってきたギース
カナダに来て最初驚いたのは、鳥のギース("Goose"グースの複数形="Geese"ギース)を至る所で見かけること。"カナダ・グース"というブランドがあるくらいだからね。
黒い顔と首に、頬の白いラインがカナダグースの特徴 |
ギースは日本語だとガチョウやガン(雁)にあたり、広義ではカモと同類らしい。
こちらでは水辺や公園はもちろん、住宅街や商店街にも出没する。こちらは土地が広く、芝を植えたエリアが多いからか、そこでエサ探しをしているのだろう。
リスとギースを至る所で見かけるのは、日本と違うところだ。時にはギースご一行様が車道を渡るのに遭遇するので、その時は車を停め彼らが渡り終えるのを待つ。(急いでいる時でなければ)心温まる光景だ。
去年の4月にこんなことがあった。
4月はまだ寒く雪が降ることは前回書いたが、その積もった雪がまだ残る4月半ば、郊外の地下鉄の駅に行ったら、駐車場の入り口の脇で1匹のグースが足をたたんで地面に佇んでいた。
そのポーズと、人が近づいても動かない様子から、私はすぐに「卵を温めているんだ」と気づいた。
近くにはもう1匹のグースが見張り番のようについていた。きっとつがいのオスだろう。
「まだこんな寒いのに!」
ギースが寒さに強いのかわからなかったが、冬の間はギースは全然見ないので、てっきり南の方に移動しているんだと思っていた。(実際はどうか知らない)寒さに弱い、というより、大地も湖も雪と氷に覆われたら、エサを確保できないだろうから。
しかし、よりによって駐車場の入り口の人通りの激しいところに腰を下ろすなんて。人が通りかかるたび、卵を守ろうとしてか、オスもメスもくちばしを開けて威嚇する声をあげていたので気の毒に思えた。
何かエサをあげたいと思ったが、そう思ったのは私だけではなかった。すでにメスのグースの近くにはパンの切れ端がいくつか置かれていたのだ。
でもエサをやるために近づいた人でさえ威嚇されたことだろう、、、。
妊婦を守ろうとする夫! |
この頃、私はちょうど頻繁に地下鉄でダウンタウンに行っていたので、数日後にもこの駐車場に行った。何と、そのグースはまだその場に佇んだままだった。
私が最初に見たときの時点ですでに何日も経っていただろう。そしてその翌週に行った時もまだそこに居た。
その間、再度雪が降ったし、雨も降ったし、とても冷えた夜もあった。が、そのグースはずーっとそこで卵を温め続けていたことになる。あとで調べたら、通常ギースは約20-25日くらい卵を温め続け、孵化させるそうだ。
最後に見たのはちょうど今頃、4月の終わりだったか5月の頭だったか。その後寄った時はいなくなっていた。無事雛が孵ってくれたこと祈る、、、。
* * *
夏にコテージに行けば、裏が運河だから庭にはいつもギースが居た。犬のロウニンがギースを見かけるたびに興奮して、耳をピンっと立ててたっけ。
春の終わりに生まれた子どもは、よちよち歩きで親にくっついていてとても可愛い。これもあとで調べてわかったが、カナダのギースは基本、一夫一妻制で、子どもが生まれると列の先頭と最後尾に親がつき、子どもを間に挟んで移動するそうだ。
確かに私が見た子どもたちは、先頭と最後に大人のグースがついていた。ちなみに卵を温めているメスの側で相手のオスが見張り番をするのも定番らしい。こういうのは生き物に共通にプログラムされた行為なんだな。
コテージの付近でも、夏が終わり秋が来て冬になると、やはりギースはどこかへ行ってしまう。一体どこへ行っているのか?
カナダ・ギースはどうも渡り鳥ではないらしいが、いなくなるのは確かだ。冬眠する動物のように、木のほこらや土の中で眠っているわけじゃあるまいし、一体どこへ?
そして氷が溶け始めると、ぽつりぽつりと戻ってくる。半解凍の氷の上を歩いていたり、氷水の中で浮かんでいたりするので、「寒くないのかなあ」と、つい人間の感覚で見てしまう。
この週末はこの前まで雪の予報が出ていたくらい寒かったが、結局雪は降らず、予想外に陽の光に恵まれた。通りかかった公園で、たくさんのギースが芝生でエサ探しをしているのを見た。
これは数年前の春の写真。(今はまだタンポポは出ていない!) |
今日はカモもいた。頭のメタリックグリーンが美しい |
ギースがこんなに戻ってきているいうことは、いよいよ春が到来するという証拠だ。待ち遠しかった春がいよいよ始まるのだ!
先日飾ったフリージアの花が開いたところ。 |
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