なんだったんだ?7Months


以前はウィークリーで更新していたのに、今やすっかりマンスリーになってしまっている私のブログ。更新のたびに季節が変わっていて(来週最低気温4℃の日も!)、時の速さに自分でも驚く。

更新の頻度が落ちるのは仕事のせいに他ならない。今の仕事になって最初の2ヶ月は研修モードだったが、その後、つまりこの7ヶ月ほどは新しい分野の仕事を吸収しつつ、同時にいろいろ任されたのできつかった。

今ようやく自分のペースがつかめてきたが、それでもやることは盛りだくさんだから、しばらく「マンスリーブログ」は続きそう、、、。

ところで、その前の年も前職で「なんだったんだ?」と今思えるくらい、初めてで強烈にきつく、そしておそらく二度と体験しないだろう仕事が7ヶ月ほど続いた。今日はそちらの方について書こう。

その仕事とは、訴訟・裁判だ。



一応私のバックグラウンドは会計だが、前職は経営補佐的な仕事がメインで、そうなると法務なんかも入ってきて(要はなんでも屋(笑))、なんの法的知識もない私が、結果して訴訟問題も深く入ることになった。

それが、単に訴訟内容の難しさだけでなく、さまざまな困難のオンパレードだったのだ。

それは土地のリースに関わる係争で、私のいた会社が関連する三社を同時に訴えた方だった。最初は弁護士に任せて経過を見守る程度だったが、相手(三社とも)が逆提訴をしてきて事が徐々に大きくなっていった。

さらには、事情があって私たちの自身の弁護士ともトラブルとなりどんどん泥沼へ。

新しい弁護士を立てたがそれも訳ありでうまくいかず、結果して三人目の弁護士を立てることになるのだが、それが決まるまでの2ヶ月ほどの間、素人の自分たちが訴訟の対応せねばならないことに。

三社のうちのひとつは、カナダ屈指の大手不動産会社だから、ビッグ・ファームの弁護士が3人くらいついている。そんな人たちを相手に、法務どころか英語もままならない私が対応していいのか?しかし、代わりはいない。やるしかなかった。

私は当時トロント郊外に居て、普段はトロント市街に行かなかったが、この頃は地下鉄で毎日のように裁判所のオフィスに行って訴訟手続きを確認し、何度も民事訴訟のプロセスを読んだ。専門用語も多く、とにかくわからないことだらけだった。


ようやく新しい弁護士が決まってほっとしたのもつかの間、その人はSenior Lawyer(上級弁護士)で時間当たりのフィーがびっくりするほど高く、かつ、彼の秘書が辞めたばかりで、事務まわりの業務や手続書類の作成をする人がいなかった。

それに、公判が迫っているのに、新しい弁護士が全部の経過を把握するには時間が足りない。(その時点でかなり複雑な内容になっていた。)

結果、費用を抑える意味でも、経過を一番よく知る私が、実質彼のアシスタントのように動くことになった。

それからがまた大変だった。訴訟は民事の中でも「コマーシャル・リスト」と呼ばれる商業関連専門のカテゴリーに移され、また新しいプロセスを覚えねばならなかった。ここでは公判までのスケジュールが早く進むので、資料作りもことあるごとに急がねばならならい。

私はさすがに英語チェックはしてもらったが、供述書も作成したし、細かいルールの多い裁判官用資料も作成した。会社側として裁判官の前にも立ったし、公判で担当弁護士が話すプレゼン資料や相手の弁護士に対抗するためのQA集も徹夜で作成した。

ちょっとしたヒアリングの直前には、関係者とホテルに缶詰めになって作戦会議も、、、。


ハッキリ言って、法律事務所のアシスタントか下手するとJunior Lawyer(下の位の弁護士)並みの仕事をした。たった数ヶ月の間にいろいろな知識や用語を覚えて、、、。

いよいよ決戦の日-。

コマーシャル・コート(ビジネス系の裁判所)

最終的な公判では、ライセンスを持ち、法曹衣(黒いガウン)を着用した弁護士だけがJudge(判事の)の前でやりとりできる。当事者・関係者は傍聴席へ。

しかし、私たち側の弁護士は、私が弁護士たちと同席する許可を特別に判事からもらい、私は発言はできないが、彼の横で資料等のアシストをすることを許された。

私は相手弁護士の発言や判事の問いかけに合わせ、すかさず自社弁護士へ資料を渡し応戦した。一度に三社が相手なので、私は緊張する間すらなかった。

しかし、、、。

結果は惨敗だった。実はそもそも最初から負け戦的なところはあったのだ。だけど、私のボスはどうしても訴訟を起こして、相手に問題提起をしたかったがためにそこまでやったのだった。

こうして私の強烈な7ヶ月、その前後処理を合わせれば約年の激務が終わった。

よく通った弁護士事務所の窓から

滅多にない体験をし、さまざまな知識をつけたのは良かったと言えるのかもしれない。しかし、この経験を将来生かす時が来るということは、何か係争をかかえるということだから複雑な心境だ。

この先は何事もなく、「あの7ヶ月はなんだったんだ?」と振り返ってただ苦笑していることを祈る、、、。

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